共感と同感の違い
キャリアコンサルティングの場面では、 よく「共感と同感は違う」と言いますよね。 あれはいったいどういうことなのでしょうか。
同感というフレーズは会話の中でよく使用されますが、 話し手のある発言に対して「それ同感!」といった感じで 自分も同じように思っているという賛意を表す場面でよく使われます。
つまり基準はつねに自分の側にあり、それが話し手にとって本当にあっているかどうかは別問題です。
一方のキャリアコンサルティングでいう共感とはどのような状態でしょうか。
この概念を正確に理解することはとても難しいと思いますが、私は「話し手の心象風景の動画化」と解釈しています。
例えば話し手が 「先日雰囲気のいい店で食べたスイーツが美味しかった」といった時、聴き手は何を想像するでしょうか。 それだけしか情報が無ければ 自分の同じような経験から想像するしかないですよね。
でも、それは話し手が伝えたかった世界とは全く別物であるかもしれません。 この状態ではまだ共感には程遠いのです。 聴き手は話し手に「いつ・どこで・どのような店で・誰と・どうして」 といった情報を聞き出す必要があります。
さらにどのような味だから美味しいと感じたのか、雰囲気がいいと感じたのはどのような店だったからなのかといったことも聴きだします。 もっと進んで話し手の過去の体験からその店に対して感じたことも聴きたくなります。
例えるなら、当初はたんなる二次元的な文字情報の羅列であったことを新しい情報を得ることによって三次元的な画像の状態にし、さらにそれに動きを与えて動画にするような作業です。
価値観のフィルターが異なるために全く同じではないけれども、 話し手の心象風景を具体化することによって経験を共有していくわけです。 それが共感に近づくことであると思うのです。
聴き手は相手になりきることは出来ないし、なりきれたとしたらそれはそれで第三者視点が持てないのでダメですが、 話し手が自分の中にどのような世界を描いているのか、それをありありと想像できることがクライエントの理解のためには必要なのです。
次回は、聴き手の一致とは何かについて書きたいと思います。
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