「聴き手の一致」とは


アメリカの臨床心理学者、カール・ロジャーズ博士の唱える、三要件の「一致・純粋性」とはどのような状態でしょうか。

 一般的には一致は次のように説明されています。 

「聴き手が相手に対しても自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え真意を確認すること」 、「分からないことをそのままにしておくことは自己一致に反すること。」  

浅学の私ごときでは到底正確に説明できることではありませんが、私はシンプルに「自分に正直であること」という捉え方をしています。

 しかし、現実の面談でも試験のロープレでも、この自分に正直であることがとても難しいのです。 面談やロープレで相談者と対峙していると聴き手のこちらにも様々な感情や思いが湧いてきます。

 例えば相談者の話が要領を得ない、さっぱりわからないと感じる時があったとします。 そんなとき、この人はまだ身のまわりの事柄や自分の感情を整理できていないのだなと感じることでしょう。 本来はそうした感情を自分の自然な感情として受け入れ、それに見合った行動・関わり方、 例えば「わからないことを確認する」といった行動をとればよいのですが、つい面談時間が押していたりすると良くわからないけれどまとめに入ったり、話の先を促したりしてしまいます。

 試験のロープレですと一所懸命練習した相談者支援のステップを先に進めたくなる場面です。  

これでは聴き手としての自分の感情、「よくわからない」に正直でなく、一致していないですよね。  

では少しでも一致した状態に近づけるためにはどうしたらよいか。 私は聴き手としての一致には、 自己の客観視が不可欠であると思います。  

冷静に自分がいまどのような気持ちにあるのか、この場面で自分に正直に相談者に関わるということがどのようなことか、それらが客席から舞台の上の演者である自分を見るように冷静に観られるようになること、それが「一致」に近づくことであると思います。 

そんなのとても無理と思うかもしれませんが、なんでも100%できなければ意味が無いと思うのは認知の歪みです。  

少しでもその状態に近づこうと努力することが必要ですね。 

私自身もまだまだですが。 (>_<)

 次回は、解決志向について書きます。



「はたらくのことはり」

こんにちは。 キャリアコンサルタントのユタカです。 「キャリア」とは、「はたらくこと」とは の観点から、 人と働くことの関わりを広くとらえて書いています。