伝え返し

「面談ではクライエントの話に対して伝え返しすることが大切」と言われたけど、どうしたらいいのですかと聞かれることがあります。

伝え返しはアイビィのマイクロ技法階層表の「基本的傾聴の連鎖」の中にある「いいかえ」と同義で、話し手であるクライエントの話しした内容・主旨を短い言葉で返すことです。

多くの場合、クライエントの言葉の中から感情の言葉、例えば「つらいんです」という言葉があったらそれをとらえて、「つらいんですね」と返します。だから勘違いする人はただのオウム返しだと思うかもしれません。

しかし、本来の伝え返しはそのようなものではなく、的確に相手の発言の要旨をまとめたり、その発言の背景となる感情を短い言葉に集約して返します。参考になるのは論述試験問題の逐語で、模範的なキャリアコンサルタントが発する短い言葉です。

クライエントが長々と逐語にして10行前後も話しているのに、それをズバッと一語で返しているくだりがあります。

あれが伝え返しです。

実際にはあんな風にうまくはいきませんが、適切なタイミングでのポイントをついた短い言葉は、グサッと刺さります。時々だらだらとクライエントの話したことをまとめもせずにそのまま返す人がいますが、あれはただのオウム返しで、聞かされる方はウンザリします。

長くてもきちんとまとまりがあれば「要約」になるのですが、要約は面談の中盤や後半に、そこまでの話の内容を整理して、クライエントに間違っていないか、自分の認識で合っているかを確認するために行なうものです。頻繁に行うものではありません。

伝え返しも要約も適切に行うことで、クライエントは聴き手に対する安心感と信頼感を持ちます。黙ってうなずいているばかりでは、この人ほんとうにわかってくれているのかなとなりますよね。

 次回は「開かれた質問と閉ざされた質問」について書きます。 



「はたらくのことはり」

こんにちは。 キャリアコンサルタントのユタカです。 「キャリア」とは、「はたらくこと」とは の観点から、 人と働くことの関わりを広くとらえて書いています。