開かれた質問・閉ざされた質問
キャリアコンサルティングに限らず、人と話をしていて質問をするとき、質問の仕方には2種類があります。 「いまどんな気持ちですか?」、「これからどうしたいと思いますか?」 のような答えが特定の単語ではなく、広がりを持つ質問が開かれた質問。
これに対して「イエス」「ノー」「1個」「建設業」「銀行員」といった一言で答えられる質問が閉ざされた質問です。
どちらがいいというような話ではなく、実際の面談でも練習のロープレでも、聴き手は話し手に対してこの2種類の質問を織り交ぜながら進めていきます。
とくに試験のロープレのように限られた比較的短い時間の中では、ある程度選択的にこれを使う必要があります。
というのは、面談の初期段階では話し手の情報が圧倒的に不足しているため、かなりたくさんの閉ざされた質問で話し手の属性や置かれている環境や状況を詳しく知る必要があるからです。
年齢、職業、家族構成、職場での立場、職歴や経験年数などですね。
こうした情報は面談が進んでからでは聞きにくいので、最初のうちに正確に聴いておく必要があります。経験的にはここでの情報の仕入れが少ないと話し手のイメージが膨らまず、面談が進むにつれて苦しくなってしまいます。
よくある次に何を質問しようかと視線が宙をさまよう聴き手はこの状態です。
しかし、閉ざされた質問ばかりでは話が弾みませんし、深まることもありません。そこで登場するのが開かれた質問です。
例えば今の気持ちや、何かを経験したときの気持ち、あることに対する自分の考え方など、一言では答えられないような質問ですね。
こうした質問は話し手としてもよく考えないと答えられませんから、沈黙が入ったり、逆に答えが長くなったりします。 また、考えさせるため話し手の疲労は大きくなります。
時には話したくないことだってあるでしょう。ですので開かれた質問ばかりでも面談は苦しいものになります。何事もバランスとタイミングなんですね。
しかし、それらがうまくかみ合った時、その面談は格段に深いものになります。また少しでも話し手の世界に近づく共感的理解のためには、ありありと話し手の世界が想像できる必要がありますから、2つの質問を上手く使うことはとても大切なことです。
真の傾聴とは、ただ耳を傾けて相手の話を聴くことではなく、適切な問いかけを含んだ関わりといわれています。
次回は働くことの意味について書きます。
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